鳳蝶の夢籠

オリジナル小説『グリモワール』シリーズを掲載しています。
『グリモワール』の書棚
死者を蘇らせそれを隷属する、忌まわしき闇の魔道書
『死者の舞踏』

あなたが望むなら、どこへでもいってあげる。


417年著。(『グリモワール』は983年)
思いのままに死者を操る秘術が記されている。解読には特別な儀式を必要とし、それを怠ったものはたちまち屍(かばね)となり書そのものに隷属させられるという。
装丁は赤紫の革表紙に金の表題とされているが……実は、光沢のある鮮やかな赤紫の長い髪に金の双眸、という凄絶な美女の姿をしており、意思を持ち人語も操る。
『アノニマス』から生まれた身体をもとに、とある魔術師が著した。

顔の左に『眼を啄ばむ、強欲なる青き鳥』、
右腕に『喉と腸を食い破る、残忍なる黒き獣』、
左腕に『首を圧し折る、鋭き牙の赤き毒蛇』、
右脚に『頭蓋を押し潰す、暴虐なる白き巨人』、
左脚に『皮を剥ぎ纏う、狂猛なる黄の蟲』という凶暴な呪文(スペル)が記されている。それぞれの呪文が現出すると、猛禽、狼、蛇、巨人、蜘蛛に似たような形状をとる。

廃墟クロウズフォートの地下にある棺で眠りについていた。



魔物を生み出す、名もなき母なる魔道書
『アノニマス(作者不明)』

年代は不明。
題名も与えられず著者のなまえすら記されていない、哀れな魔道書。
黒い表紙はなんの革でつくられているのか、不明。
魔術師の力量であるのか、意思であるのか、生み出す魔物の形状は所有者によって異なる。
過去、『死者の舞踏』の肉体を生み出した。



不安定を抱える、幼き魔道書
『彷徨える魂の歌声』





※グリモワール
 フランス語で呪文集を意味する。魔道書。
 魔術の真理や法則、呪文が記されている物品。必ずしも本のかたちをしているというわけではない。

※ダンス・マカーブル
 フランス語で死の舞踏を意味する。絵画や彫刻の様式。
 生前はどのような身分にありそれぞれの人生を生きても、死の前ではそれらは無意味でみなは平等である、というような意味をこめられ、死の恐怖を前に人々が半狂乱になって踊り続ける姿が描かれている。
 (小説に登場する『死者の舞踏』となまえが似ていますが、こちらは死者を思うままに操ることができる、という意味。『ダンス・マカーブル』がタイトルでも、彼女を指しているわけではないのです;)
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